耳が二つ、口が一つ

金光大神は、福嶋儀兵衛に『金光大神あって神は世に出た。金光大神の話していることを、そのまま人に聞かせてやればよい。そなたが、これまでおかげを受けてきていることを話せば、それでよい。何も、そう心を使わなくてもよい。後ろに此方金光大神がひかえている』と教えられています。(金光教教典・理Ⅱ福嶋儀兵衛10 P.673ページ)

このように、金光教には、助かるにはどうすればいいのかという、特別に「定められたこと」がないのです。「金光大神が話していることをそのまま人に聞かせてやればよい」とおっしゃるのです。また「あなたが、これまでおかげを受けてきていることを話せば、それでよい」と言われています。ここのところが大切です。

「話を聞いて助かる」道です。それだけに「話をする」には、ウソ偽りがあってはなりません。真実を語ることがいります。また、「聞かせてやろう」という態度は厳に慎まなければなりません。また、口先だけの「きれいごと」や、上手に言ってやろうというのでは、こちらの真実が伝わりません。もちろん、相手を見下すような傲慢無礼(ごうまんぶれい)な話し方では、人は助かりません。また、卑下自慢(ひげじまん)のような「物言い」では、聞き手を失うばかりです。

「心の病」を治すカウンセリングでは、話すことより、徹底して相手の話に耳を傾けることが大切であるといわれています。「どう話せばいいか」を求めるよりも、「いかに相手の言うことを聞くか」が、「話を聞いて助かる道」の基本です。相手の立場に立って、聞いて聞いて聞きぬくことこそ、話し手にとって重要なことです。

人間の顔には「耳が二つ、口が一つ」ありますが、これは、「言う倍、聞け」ということだと思います。ところが、たいていの人はその反対で「聞く倍、言う」人が多いのです。皮肉なことに、口の達者な人ほど聞くことが苦手なことが多いものです。先生という立場の人ほど、「口が三つに耳はなし」という「お化け」が少なくないのです。相手が「言うことを聞かない」と愚痴る自分を振り返るとき、自分が「お化け」になっていることに気付くことが少なくないのです。

「話で助かる」お道に信心をさせていただく私たちは、「いい話を聞かせてやろう」という態度から、「どんなことでも聞かせていただきます」という生き方をさせていただくことが、神さまの願いにかなうことを知らねばなりません。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です